SPECIAL INTERVIEW
国際ジャーナル 2010年2月号より抜粋
協英地所(株)代表取締役 山田 将嗣
古き良き伝統と瑞々しい感性。二つが交差する街が物語りを紡ぐ
「街は感動を求めている」。そう、山田社長は語る。従来の箱物―動きのない閉じられた空間に、感動はない。行き交う人々が交し合う視線、雑踏のざわめきの中で交錯する人生。それらが織りなす物語の中こそ、感動が生まれる場所なのだ。新たな街のシーンをクリエイトすべく、社長の挑戦は続いていく。
「街をつなぎ、美しく整える流れ。それを生み出せる企業でありたい。」
SPECIAL INTERVIEW
ゲストインタビューアー 小倉 一郎
不動産ディベロッパーとして華やかな活躍を見せている「協英地所」。大阪有数の繁華街・北新地と、梅田・茶屋町にそれぞれ新しい施設を誕生させ、これまでになかった人の流れを生み出した。同社を率いるのは代表取締役、山田将嗣氏。街について独自の持論を持つ社長に、俳優・小倉一郎氏が話しを伺った。
「『当たり前』の裏をかく。その鮮やかな手腕がすばらしい」
ほう。ここには暖炉があるんですね。壁に並んだ洋書も趣があっていい。
そこにある洋書や映画のパンフレットは、仕事でも使う資料なんです。
なるほど。面白いですね。山田社長はずっと不動産業の道を?
以前は遊休地物件の活用を手掛けていました。転機は茶屋町で手掛けたカラオケ店。当時のカラオケ店は、カラオケ機器メーカーが商品展示のために手掛けていたような状態でした。ですから、アパートのように並んだ画一的な部屋に、冷凍食品の食事、不衛生なトイレ、時間を過ごすことを楽しめる空間ではなかったんです。そしてそれが“当たり前”として受け入れられていました。
しかし、私はそこに疑問を感じたんです。そこで1億円の融資を受けて、茶屋町に自分の理想とするカラオケ店を出店したんです。
素晴らしい。“当たり前”というのはある意味諦念ですから、そこを追求すれば、より消費者のニーズに近いものが生まれるのですね。
仰る通りです。私はその“当たり前”を変えることにこそ突破口がある気がするんです。
インタビュー写真
そこからディベロッパーの道へ?
そうです。私はあえてこれまで北新地が目を向けなかった層をターゲットにリノベーションを手掛けたんです。新たならターゲットは、30代のビジネスマンや、20代後半のOLたち。彼らが健全に楽しめる場所をつくることで、新たな人の流れを生み出すことができました。それが「ESPASION YAMADA」です。
それも、ひとつの“当たり前”への挑戦ですね。
ええ。これまで街に来なかった人が待ちに来るようになれば、街全体が活気づくでしょう。一つのビルが人の流れを変える―その理想を胸に手掛けました。
“当たり前”を疑う見識こそが、次の時代を生み出すのですね。社長の今後のご活躍が楽しみです。
現在、私が目指しているのは茶屋町という街のブランド化です。阪急・梅田駅の近くに「XROSS chayamachi」という商業施設を運営開発しているのですが、そのモチーフは“道”。文化や感性、あらゆるものが行き交う場所にこそ、新しいものが生まれる。街を作り出すディベロッパーだからこそ、都市、そして都市に展開する他の企業とも手を携え、街そのものの町価値を高めていきたいですね。
不動産ディベロッパーという仕事にまず求められる要素。
それは“周囲との調和とバランス”だと山田社長は考えている。
都市開発では、一人勝ちは長続きしない。
これまで常にWin-Winの関係を築きあげてきたからこそ、
今の社長の成功があるのだ。
協英地所(株)代表取締役 山田 将嗣
「『普通、そういうものでしょ』といわれると、それは違うだろ、と燃えてくるんです」
協英地所(株)代表取締役 山田 将嗣


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